
はじめに
みなさんは「光を浴びること」が、心や体に大きな影響を与えることをご存じでしょうか。
光療法(ブライトライト光療法)は、太陽光に近い明るさの光を浴びることで体内時計を整え、気分や眠りを改善する治療です。
薬を使わない方法として、薬物療法を補完する治療法として利用できる可能性があります。
主な適応
- 季節性うつ病(季節性感情障害:SAD)
特に冬の時期に気分の落ち込みや過眠・過食が強く出るタイプに有効です。
- 非季節性うつ病
抗うつ薬と併用することで効果が期待されることがあります。
- 概日リズム睡眠障害
体内時計のズレを整える目的で使用されます。
- 遅延睡眠相障害(夜型で朝起きられないタイプ)
- 交代勤務による睡眠障害
- 時差ぼけ(ジェットラグ)
方法
- 使用する光
高照度(例:約10,000ルクス)の白色光を発する専用ランプを使用します。自然光に近いスペクトルを持ち、家庭用照明とは異なる強さです。
- 実施時間
多くの場合、朝の起床後すぐに20〜30分程度行います。夜に実施すると眠れなくなることがあるため注意が必要です。
- やり方
光を直接見つめる必要はありません。本を読んだり、朝食をとりながら、光が目に入るように浴びれば十分です。
効果
- 数日〜2週間ほどで、気分の改善や日中の覚醒度が高まることがあります。
- 体内時計がリセットされ、睡眠と覚醒のリズムが整ってきます。
副作用・注意点
- 目の疲れ、頭痛、軽い不眠(遅い時間に行った場合)などが報告されています。
- 網膜疾患をお持ちの方や、光過敏を起こす可能性のある薬を使用している方は注意が必要です。
- 双極症のうつ症状を軽減するうえでも効果的ですが、その場合は医師の指導のもとで安全に行うことが望ましいです。
まとめ
光療法(ブライトライト光療法)は、自然のリズムを体に取り戻すためのシンプルで効果的な方法です。
「最近、朝起きられない」「冬になると気分が落ち込む」といったお悩みをお持ちの方には、一つの選択肢となります。
あなたの生活リズムや症状に合わせて、最適な方法を一緒に考えていきましょう。
監修医師:宮田 明美(みやた あけみ)
名古屋伏見こころクリニック院長。医学博士。お茶の水女子大学心理学専攻卒業、名古屋市立大学医学部卒業。心理学と医学の両面からこころの問題に向き合い、精神科専門医・精神保健指定医・産業医として活動しています。