グリーフケアについて|ブログ|名古屋伏見こころクリニック
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今回は、「グリーフケア」について取り上げます。
グリーフケアとは、大切な方を亡くされた後の悲嘆(嘆きや悲しみなどの苦しい心の状態)へのサポートや支援のことを言います。
長年グリーフケアに取り組んできたアルフォンス・デーケンは、その著書(※)の中で、「悲嘆から立ち直るまでには少なくとも1~2年はかかる」、また、「立ち直るまでには、(怒りや罪悪感、孤独感など)様々な心のプロセスを経ることについて学び、『こうした気持ちになるのは自分だけじゃない』と知ることが、より早い立ち直りにつながる」と述べています。
また、「亡くなった方との関係(いい関係だったのか、複雑な関係だったのか)や、亡くなり方(穏やかだったのか、突然のことだったのかなど)によっても、残された方々の立ち直りのプロセスが大きく変化する」と述べています。
それでは、具体的にはどのように悲嘆と向き合い、立ち直っていくのでしょうか。
そのヒントについて、シュトレーベンは、「二重過程モデル」を提唱しています(図はシュトレーベンのモデルをもとに作成したものです)。
図の矢印のように、大切な人の喪失を経験すると、悲しみに向き合い、気持ちの折り合いをつけていく時間と、喪失の辛さと距離を取り、外の現実の世界に目を向けて行動していく時間の2つを、行きつ戻りつしていきます。
その過程の中で、悲嘆がなくなることはないけれど、苦痛にさいなまれることが少なくなり、徐々に新しい環境に適応していく(「統合された悲嘆」と言います)と考えられています。
大切な人をなくすという経験は、大きな悲しみや喪失感をもたらします。
また、後悔や自分を責める気持ちが高まり、時間が止まったように感じられたり、生きていく意味さえ見いだせない日々が続くこともあると思います。
しかし、心が深い闇に包まれる日々を経験することによって初めて、明るい時には気づかなかった星々が見えてくることもあるのではないでしょうか。
長年、臨床心理士としてグリーフケアを続けてきた山本力は、「悲しみは『わるいこと』ばかりを招くものではない。かならず予想外の『よいこと』ももたらしてくれると、私は信じている」と述べています。
当院でも、大切な方を亡くされた方からのご相談をお受けしております。
(※)参考図書 「よく生き よく笑い よき死と出会う」 アルフォンス・デーケン 著 新潮社
大切な人の喪失にどのように向き合うのか、また豊かな老いを迎えるためにはどうすればよいのかについて、多くのヒントや考え方が書かれています。おすすめの本です。