ADHDの治療|ブログ|名古屋伏見こころクリニック

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ADHDの治療

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ADHD(注意欠如・多動症)は心理社会的治療と薬物療法の併用により、自分の行動をコントロールできるようになることが治療の目標です。

 

心理社会的治療とは、自分の行動の特徴を理解し、状況に応じた適切な行動を取れるようになるためにしていくものです。自分の特性を理解し、それを補うため生活環境や人間関係づくりをします。例えば、時間管理ができない場合は、携帯やスマートフォンなどのアラーム機能を利用したり、作業を始める時間や持続する時間をあらかじめ決めておいたりという対策をとります。また、忘れ物や失くし物が多い場合は、置き場所を決めることや物の出し入れをする場所を決めることで忘れ物を減らすことができます。持ち物は玄関のドアノブに掛けておくなど、かならず目のつくところにおいておくのがポイントです。

 

薬物療法では、中枢神経を刺激して脳内の神経伝達物質(ドパミン、ノルアドレナリン)を増やしADHDの不注意や多動などの症状を抑えます。気分の落ち込みが強い方や感情のコントロールが困難な方には抗うつ薬や抗精神病薬などを併用する場合もあります。

 

​〇コンサータ(メチルフェニデート塩酸塩):コンサータはメチルフェニデート塩酸塩を主成分とするお薬です。コンサータにより神経伝達物質(ドパミン、ノルアドレナリン)の働きを活性化することによりADHDの症状である不注意、衝動性、多動性などを改善すると考えられています。具体的にはコンサータがドパミントランスポーター、ノルアドレナリントランスポーターに結合し神経細胞間のドパミン、ノルアドレナリンの再取り込みを防ぐ働きをします。その結果神経細胞間のドパミン、ノルアドレナリンの量を増やし前頭葉、側坐核、線条体の働きを正常化すると考えられています。コンサータは1日1回午前中に服用し、服用後1時間ほどで効果が発現しはじめます。コンサータの効果持続時間は約10~12時間程度と考えられています。当院ではコンサータ登録医が常時勤務しております。

 

〇ストラテラ(アトモキセチン塩酸塩):ストラテラはアトモキセチン塩酸塩を主成分とするお薬です。ストラテラもコンサータ同様に神経細胞間の神経伝達物質(ドパミン、ノルアドレナリン)の量を増加させ、不注意、衝動性、多動性などを改善させていきます。コンサータとの違いは効果発現までの時間と効果の持続時間です。ストラテラは徐々に薬の効果がではじめるため、服用開始から効果を実感できるまで約1カ月程度かかるといわれています。効果の持続時間は服用を継続することで24時間持続させることができるため、朝目覚めたときから睡眠中もずっと薬剤の効果が発揮されています。

 

〇インチュニブ(グアンファシン塩酸塩):インチュニブはグアンファシン塩酸塩を主成分とするお薬です。コンサータ、ストラテラとは異なる作用機序で、前頭前皮質における情報伝達を増強させ、ADHDの症状である不注意、衝動性、多動性などを改善すると考えられています。効果発現までの時間と効果の持続時間はストラテラと同様で、継続して服用することでインチュニブの効果を維持させることができます。インチュニブはコンサータ、ストラテラと併用して服用を継続することも可能です。

 

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