心の回復につながる「物語の力」|ブログ|名古屋伏見こころクリニック
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みなさんは「ストーリー」と「ナラティブ」という言葉を聞いたことがありますか?
どちらも「物語」を意味する言葉ですが、実は少し違うニュアンスがあります。
ストーリーは「出来事の流れ」「あったことの筋書き」です。
たとえば、
「高校の頃から朝起きられなくなった」
「友達との関係がうまくいかなくなった」
「仕事のストレスで眠れなくなった」
といった出来事がストーリーにあたります。
一方でナラティブは、「その出来事をどう受け止め、どう意味づけるか」ということです。
同じ出来事でも、語る人によって全く違った物語になります。
たとえば、
「学校に行けなかったのは、自分が怠け者だからだ」
と考えるとつらくなりますが、
「学校に行けなかったのは、それだけ心が疲れていたから。あのときは自分を守るために休んだんだ」
と考えると、少し気持ちが楽になるかもしれません。
私たちが支援するときに大切にしているのは、このナラティブの部分です。
ストーリー(出来事)そのものは変えられなくても、ナラティブ(意味づけ)は変えることができます。
「失敗ばかりの人生」という物語を、
「何度も立ち上がってきた人生」という物語に書き換えること。
それが心の回復に大きな力を持ちます。
もし今、つらいストーリーを抱えている方も、その出来事にどんな意味をつけるかで未来は変わっていきます。
私たちのクリニックでは、一人ひとりのナラティブを大切にしながら、一緒に新しい物語を紡いでいくお手伝いをしています。
名古屋伏見こころクリニック院長。お茶の水女子大学文教育学部心理学専攻卒業、名古屋市立大学医学部卒業、名古屋大学大学院医学系研究科精神医学分野博士課程修了。精神科医として20年以上の臨床経験があり、産業医としても10年以上活動しています。精神科専門医・精神保健指定医として、日々の診療や患者さんへのサポートに取り組んでいます。