心の回復につながる「物語の力」|ブログ|名古屋伏見こころクリニック

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心の回復につながる「物語の力」

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みなさんは「ストーリー」と「ナラティブ」という言葉を聞いたことがありますか?

どちらも「物語」を意味する言葉ですが、実は少し違うニュアンスがあります。

 

ストーリーとは

ストーリーは「出来事の流れ」「あったことの筋書き」です。たとえば、以下がストーリーにあたります。

  • 「高校の頃から朝起きられなくなった」

  • 「友達との関係がうまくいかなくなった」

  • 「仕事のストレスで眠れなくなった」

 

ナラティブとは

一方でナラティブは、「その出来事をどう受け止め、どう意味づけるか」ということです。同じ出来事でも、語る人によって全く違った物語になります。

  • 「学校に行けなかったのは、自分が怠け者だからだ」

  • 「学校に行けなかったのは、それだけ心が疲れていたから。あのときは自分を守るために休んだんだ」

上のように考えると辛くなりますが、下のように考えると少し気持ちが楽になるかもしれません。

 

回復のプロセスとしての「物語の書き換え」

私たちが支援するときに大切にしているのは、このナラティブの部分です。

ストーリー(出来事)そのものは変えられなくても、ナラティブ(意味づけ)は変えることができます。

「失敗ばかりの人生」という物語を、「何度も立ち上がってきた人生」という物語に書き換えること。

それが心の回復に大きな力を持ちます。

 

さいごに

もし今、つらいストーリーを抱えている方も、その出来事にどんな意味をつけるかで未来は変わっていきます。

私たちのクリニックでは、一人ひとりのナラティブを大切にしながら、一緒に新しい物語を紡いでいくお手伝いをしています。

 

 

監修医師:宮田 明美(みやた あけみ)

名古屋伏見こころクリニック院長。医学博士。お茶の水女子大学心理学専攻卒業、名古屋市立大学医学部卒業。心理学と医学の両面からこころの問題に向き合い、精神科専門医・精神保健指定医・産業医として活動しています。

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