過呼吸が起きたとき、家族はどう対応すればいいのか|ブログ|名古屋伏見こころクリニック

ブログ

過呼吸が起きたとき、家族はどう対応すればいいのか

Pocket

 

―「止めようとしない」がいちばんの近道―

 

外来でよくいただくご相談のひとつに、「子どもが過呼吸になったとき、どうしたらいいのかわからない」というものがあります。

・突然、息が苦しくなる
・手が震えたり、しびれたりする
・涙が止まらなくなり、パニックのようになる

目の前でこうした状態が起きると、何とかして止めなければと焦ってしまうのは自然な反応です。
しかし実は、過呼吸への対応には「やったほうがいいこと」よりも「やらないほうがいいこと」があります。

 

過呼吸は「危険な発作」ではありません

まず大切なことをお伝えします。過呼吸は、命に関わる状態ではありません。
強い不安や緊張によって自律神経が乱れ、呼吸が速く浅くなっている状態です。
本人は「息ができない」と強い恐怖を感じていますが、呼吸は自然に必ず元に戻ります。

 

家族がついやってしまいがちな対応

良かれと思って、次のような声かけをしていないでしょうか。
「ゆっくり呼吸して!」
「大丈夫だから落ち着いて」
「どうしたの?何があったの?」
「そんなに心配しなくてもいいでしょ」
実はこれらは、過呼吸を長引かせてしまうことがある対応です。
本人はすでに「落ち着こう」と必死です。
そこに指示や質問が加わると、さらに緊張が高まってしまいます。

 

過呼吸が起きたときの基本対応

① まず周囲が落ち着く

家族が慌てると、その緊張は伝わります。静かな声で、短い言葉だけを使います。
「大丈夫」「そばにいるよ」それ以上、話しかけなくて構いません。

② 楽な姿勢と環境を整える

座る、または横になれる姿勢、可能であれば人の少ない静かな場所へ
※無理に移動させる必要はありません。

③ 「何もしない」ことが一番の対応

ただ、そばにいて見守る。それだけで十分です。呼吸は自然に整っていきます。
呼吸をコントロールしようとしない、話させようとしない、原因を聞かない

少し落ち着いてきたら、少量の水分をとる、体が冷えていれば上着をかける

「今は話さなくて大丈夫だよ」
原因や経緯の話は、その場でしなくて構いません。落ち着いたあと、別のタイミングで十分です。

 

受診や相談を考える目安

次のような場合は、医療機関への相談をおすすめします。

・初めての強い過呼吸発作
・不安が20〜30分以上続く
・涙が止まらなくなり、パニックのようになる
・自分を傷つける行為がみられる
・本人が「怖い」「助けて」と強く訴えるとき

迷ったときは、早めに相談してください。

 

最後に:大切な合言葉

 

「止めなくていい。そばにいればいい。」

過呼吸は、「正しい対応」をすることで止まるものではありません。
安心できる空気の中で、一緒にやり過ごすことが、結果的にいちばん早い回復につながります。
ご家族だけで抱え込まず、不安が続く場合は、ぜひ医療機関にご相談ください。

 

監修医師:宮田 明美(みやた あけみ)

名古屋伏見こころクリニック院長。医学博士。お茶の水女子大学心理学専攻卒業、名古屋市立大学医学部卒業。心理学と医学の両面からこころの問題に向き合い、精神科専門医・精神保健指定医・産業医として活動しています。

カテゴリー

最近の投稿

月別アーカイブ